2014年7月25日金曜日

哺乳類の膝は固定される時がある

脊椎動物の中で、哺乳類だけが特殊な骨の使い方をします。
もちろん人間も例外ではありません。
進化史の中で運動の進化は数限りなく起こっておりますが、骨の使い方が変わるという進化は極めて特殊な出来事だったと考えられます。

前回からこうした主張のもとに進めておりますが、たぶんかなり分かりにくいかと思います。
わたしもどうやって説明すれば分かりやすいか考えあぐねている次第ですが、後肢(人間で言う下肢)を例に取るのが分かりやすいのではないか?と思い進行しています。


単純に説明すれば、体重や運動による負荷が骨の中を貫通していくのが哺乳類の特徴です。
爬虫類も鳥類も骨の外の筋肉・腱で負荷を受け止めるようになっているのですが、哺乳類だけが骨そのもので受け止めます。
なので「コツ(骨)を知る」「骨で動く」などの体の運用理論は、実に哺乳類以降のことだと思っています。

仮に後肢の骨が全て直立していれば、絵的に分かりやすいのですが、ほとんどの場合そうではありません。
それでは、どのように読んでいけばいいのか説明していきます。


ネコでもイヌでも歩いているところを観察してみれば分かりますが、膝の角度が固定されています。
正確に言うと、固定されている時間とそうでない時間がありますが、まずは固定されている感じを見つけてみることです。

固定されている時間は、後肢に体重が掛かっている時間です。
固定から開放される時に、蹴る動作が入ります。

走っている時は、膝が固定されている時にアキレス腱と大腿後側が伸ばされます。
固定から開放される時、つまり荷重が抜けて行く時に瞬発力が発揮されるわけです。

これは現実に観察して見て取るのが大変なので、チーターのスロー動画などを観るほうが分かりやすいですね。

哺乳類の歩行走行には、こうした膝関節の角度固定期があるのが特徴です。
このため見た目には「ぐいっぐいっぐいっぐいっ」というアクセントを印象として残します。

ダチョウでもオオトカゲでもワニでもそうですが、歩行走行にこうしたアクセントを印象として残しません。
彼らの四肢は関節の固定という相を持たずに動作するからなのです。
これは恐竜でも同じです。
恐竜動画などでは哺乳類の動きも参考にしているせいか「ズシン、ズシン、ズシン」といった膝固定特有の運動をするものが多いのですが、爬虫類の構造からするとあり得ないものです。

なぜ固定という相を持たないかと言うと、支持脚から重心を逃し続けるからです。
重心が逃げている分だけ負荷が軽いため、関節が自由に動きます。
移動というロジックから考えると、支持脚から重心が逃げていかなければ進むことが出来ないので、哺乳類のほうが特殊です。
では、どうして膝関節の角度を固定するかというと、アキレス腱と大腿後側を伸長させて、瞬発力を生むためなのです。
膝が固定されている時も、足首と股関節は固定されません。なので膝を挟んで上と下が鏡像のように動いております。

こうして負荷を一時的に集約させて歩行走行のエネルギーに転換するのが、哺乳類の特長です。
爬虫類や鳥類は支持脚から重心を逃し続けるため、動作に抑揚がつきにくく、ヌラヌラとした印象を残したりします。


さて一時的に負荷を集約させるとき、骨にはそれなりの圧力がかかります。
膝関節が曲がった状態のまま、どのようにそれを処理しているのでしょうか。

ネコやイヌ、ネズミなど概ね90度で固定される場合が一番わかり易いと思います。
脛骨から伸びている大腿四頭筋が縮み、大腿骨が脛骨に押さえつけられます。
なので大腿骨の遠位端は長軸と垂直をなす角度に強度が求められます。
もちろん長軸方向にも強度がありますので、二つを補強する斜めの強度も持ち合わせます。

ポイントは大腿四頭筋の存在となります。これがないと大腿骨を脛骨に押さえつける事ができないので、膝が固定されません。
膝蓋骨と膝蓋腱も重要となりますが、これはまたいずれ。


さて人間ではどうでしょう?
「哺乳類全般なんかよりも人間をやれ」
と思われている方もいるかと思います。


人間も膝固定の相を持ちます。
しかし面白いもので、人によってばらつきがあるのです。

人間の膝は固定されていると言っても、元々が浅い角度なので見分けがつきにくいのですが、歩行中によく動くヒトと動かないヒトがあります。
何が違うでしょうか?

答えは既に出しているように、重心の移動が絶え間ないか支持脚に十分に乗るかに掛かっています。
どちらが優れているということはありません。

膝の固定は大腿四頭筋による前後的なものですので、右へ左へ重心が動く人は膝もよく動きます。これは坂道を駆け上がる時によくそうなります。
もう一つは分かりにくいのですが、上へ抜ける人も膝がよく動きます。階段を登る時にはよくそうなります。平地ではファッションショーのモデルに多いですね。

膝に注目して観察するのも一興ですが、動きの印象に膝固定特有のアクセントがあるかどうかで見分けるのも一興です。

2014年7月7日月曜日

哺乳類以降、骨の感受性は変わった

誰もそんなことは言っていないけれど
私はそう思っている

そんなものが考察対象になろうとは
誰も思わないだろうけれども
私はそう、思っている

  哺乳類以降
     骨の感受性は変わったのだ、、、、



~~~~別ブログでダイジェスト的に論じたものの続編です。
しばらくは重複がありますこと、ご容赦願います。~~~~

■骨の感受性


 哺乳類とそれ以前では、骨の感受性が異なります。
 それだけではなんのことか分かりにくいですね。

 平たく言うと、骨の使い方に違いがあるのです。
 その違いは動作に表れているのですが、ささいなものであり、そうした違いを指摘する人はおそらくいないのですが、私には重要なことに思えるのです。

 合わせて骨格と大まかな筋肉を分析すると、更に重要なことと思えてきます。実に哺乳類とそれ以前では、骨の感じ方に質的な差があるとしか思えないのです。
 もしかするとその差は、哺乳類の祖先が哺乳類へと進化するカギだったのではないか?そのように思い至りました。

 感じ方に違いが生じて、使い方が変わったのか?
 使い方に違いが生じて、感じ方が変わったのか?

 その後先は分かりませんが、自身の体の感じ方や使い方によって進化が牽引されてきたならば、これは非常に重要な事です。なにしろ、進化は変異によって始まるとされているからです。
 動かし方や感じ方といういわば潜在的意思は、形のない内的事象であり、個体の生涯においては影響し続けても、種の進化に影響することはないと考えられているからです。

 しかし、もしももしも骨の感受性というキーワードで、哺乳類の進化を漸進的に理解することが出来たならば、その可能性を感じることが出来るはずです。

 まずはどのように感じているかを論じていきます。

■柱のような骨とバネのような骨


 哺乳類は四肢を柱のように感じ、そのように使いますが、哺乳類以前(以外)にその傾向はありません。
 正確に言えば鳥類、爬虫類、両生類、魚類、軟骨魚類、硬骨魚類、、、とにかく哺乳類以外の全ての脊椎動物は四肢を柱のようには感じていません。
 哺乳類同様、高度に発達を遂げている鳥類も、骨の感受性という点では古い感受性を継承したまま生きているのが面白いところです。

 哺乳類の系譜を辿ると、単弓類(哺乳類型爬虫類と呼ばれていたこともある)の中のキノドン類にはその萌芽が見られます(これについてはいずれ論ずる)。



 哺乳類の骨は常に圧縮されるような負荷を受けています。より正確に表現すれば、圧縮されるような位置に着くことが可能なのです。



 例えば二つのイスがあります。机でもかまいません。イメージしやすい方で考えてください。

 左側のイスは荷重をどう受け止めるだろうか?
 右側のイスは荷重をどう受け止めるだろうか?

 左側のイスは、脚の“硬さ”。圧縮方向への“硬さ”で受け止めるだろう。
 右側のイスは、脚が湾曲されようとしている。だから湾曲に対する強さが求められている。まるで板バネのような脚だ。

 左側のイスは哺乳類的であり、右側はそれ以外の脊椎動物の特徴です。

 工業製品として二つのイスを比べた場合、デザインの違い以上の価値は見出せません。右側のイスが板バネ様の脚を持つからといって、スプリングの利いた座り心地まで通常は造り込まれません。
 しかし仮にそのように造ってあったならば、両者の座り心地はまるで違ったものとなるはずです。競べる場合にも大きな価値となります。明らかな性能差だからです。

 左側のイスは哺乳類、右側は哺乳類以前(以外)のイメージです。
 哺乳類は体重を支えるのに、四肢の骨を柱のように使います。骨の長軸を重さが縦断貫通していくイメージです。かたや哺乳類以前(以外)は重さは骨の外へ流し、筋肉や腱で受け止めます。

■メリットはあるのか


~~~~こうした哺乳類特有の構造は
どんなメリットを持つだろうか?~~~~

 まず第一に労働コストの減少です
 骨そのものが柱として機能してくれるなら、カロリーは消費されません。

 次に伝達においてはどうだろうか。
 私はダイレクトな伝達が可能になると考えております。
 そしてこれは哺乳類が生き残る上で、重要な運動性能になったと考えられます。

 おそらく外界との関わりにおいて、劇的な違いを生み出したと思われます。
 もしかすると哺乳類の祖先は、この能力なしでは生き残れなかったかもしれません。そのくらい偉大な能力へと連なっています。


 哺乳類後肢を完結に表す。
 更に簡潔に表す。






















■ダイレクトな伝達と即応性



 例えば地面からの力が加わった時、その力はそのまま脊柱に伝わります。
 途中の関節で吸収されなければ、足で受けた力は100%ロス無く伝わり、タイムラグさえ生じません。

~~~~一般的にどのようにイメージされているのか、学問上どのように認識されているのか、わからないところはあるのですが、私には間違った見解と映るものが、ままあります。
 例えばこんな論調。
『足で知覚したものが脊髄に伝わる時間。それは脊髄までの距離と神経の伝達スピードにかかっている。だから大型動物であればあるほど、知覚も応答も時間が掛かる』~~~~

 足の裏の触覚、伸長された腱の伸び具合、こうしたものが脊髄に伝わるのは、なるほど神経の伝達スピードにかかっております。しかし哺乳類の骨は、その動きだけ即座に中心部に伝達します。骨の使い方がそれを可能にしているのです。


 傘で地面を突けば、その力がそのまま手に伝わるように、足が地面に着けば、その力はダイレクトに中心に伝わるのです。その即時性というかダイレクトさ、これは知覚と応答において、偉大な能力と思うのだか如何だろう。
















 次に動作について考えます。これも興味深い特長があります。


地面を蹴ると同時に、脊柱も蹴っている。

 哺乳類の後肢構造は、足で地面を蹴ると同時に腸骨が脊柱を蹴っています。脊柱を蹴るという言い方は妥当でないかもしれませんが、後肢帯の両端で同質の運動が起こっていると私は見ています。
 これは非常に特徴的であり、哺乳類の跳躍能力を支える構造となっています。


 膝を基準にするとこんな感じ。


■哺乳類以前はヒレの運動のまま


 哺乳類以外の脊椎動物の四肢は、基本的に“ヒレの時代”の運動を引き継いでいます。“ヒレの時代”の運動とは何かというと、扇ぐような運動と言えます。


 魚がモデル。これ以上うまく描けない。

 ヒレの運動は、中心から末端に向かって運動が伝播するところに特徴があります。鳥の羽ばたきも同種の運動です。これには誰も異論は無いと思います。
 しかし鳥の後肢やトカゲの四肢に、こうしたヒレ型の運動を見て取るのは困難かもしれません。注意深く観察してみれば違いがあるのですが、分かりにくいかと思います。これについては次回以降説明していきます。

 繰り返しますが、一番の特徴は、ヒレ型運動には伝播という波があることです。中心から末端に動作が波及していくのです。
 哺乳類の四肢にも伝播という要素はあるのですが、中心と末端を同時に蹴るため膝を境に、両方向に脚が伸びていきます。
 哺乳類は、その始まりから、今に至るまで、永々と、こうした後肢の運動を続けております。哺乳類を形成する見えないロジックがそこには隠れているからなのです。

~~~~次回以降もこの構造に論理を通すことで、
われわれ哺乳類を知り、鳥類や爬虫類、、、、、への理解を深めていきます。~~~~